目次呼吸がとても苦しく、酸素室に入ることが「命を守る大きな助け」となるわんちゃんやねこちゃんがいます。そんなとき、飼い主さんが自宅で酸素室を準備できると、病院に行かなくても落ち着いて過ごせる時間をつくることができます。酸素室が特に役立つ病気とは?酸素室が「なくてはならない存在」になるのは、呼吸機能が大きく損なわれた病気のときです。酸素室に入ることで血液中の酸素濃度を保ち、命をつなぐ大切な緩和ケアとなります。心不全(僧帽弁閉鎖不全症など) 心臓の機能が低下して肺に水がたまり、酸素を取り込めなくなると呼吸困難に陥ります。猫の重度の喘息発作 気道が強く狭まり、ゼーゼーと呼吸が苦しくなり、通常の吸入治療だけでは足りない場合。気管虚脱の重度発作 気管がつぶれて空気の通り道が極端に狭くなり、呼吸のたびに強い苦しさが出ます。胸腔内の腫瘍や胸水 腫瘍や胸水が肺を圧迫して十分に膨らめなくなると、安静にしていても息苦しくなります。 酸素室導入の目安次のようなサインが見られたら、酸素室を準備・導入する時期かもしれません。普段より呼吸が早く、安静にしても1分間に40回以上の呼吸が続く口を開けて呼吸する(開口呼吸)、舌や歯茎が紫色っぽく見える夜や横になると呼吸がつらそうで、眠れない・落ち着かない少し動いただけですぐにゼーゼーして苦しそう食欲が落ちてきて、呼吸が苦しくて食べる体力も削られているこうした状態が見られたときは、早めに動物病院や往診の獣医師に相談し、酸素室の導入を検討すると安心です。酸素室の取り扱いのポイント適切な酸素濃度を保つ酸素濃縮器をつなぐことで、室内の酸素濃度を 30~40%前後 に設定するのが一般的です。 高すぎる酸素はかえって体に負担をかけるため、獣医師の指示に従うことが大切です。温度と湿度に注意酸素濃縮器は熱を発するため、酸素室内が蒸し暑くなりやすいです。小さな扇風機を外から当てたり、室温を一定に保つ工夫が必要です。出入りの仕方トイレや食事で出す必要があるときは、できるだけ短時間で戻してあげましょう。酸素室から出てすぐに苦しそうにする場合は、無理をせず中で食事や水分をとれる工夫が役立ちます。モニタリング酸素室に入っていても「呼吸数が多すぎる」「ぐったりしている」などの変化が見られるときは、すぐに獣医師に連絡を。 酸素室は“症状を楽にする道具”であり、“治す道具”ではないため、常に状態を観察することが重要です。往診でできる支援酸素室を導入するときは、往診や在宅医療のサポートが安心です。酸素濃縮器やケージサイズの相談、設置方法の指導酸素濃度や呼吸状態のチェック必要に応じた利尿薬・気管支拡張薬の調整緊急時の対応マニュアルの作成通院が難しい子でも、家族のそばで穏やかに過ごせるよう、獣医師と二人三脚で環境を整えていけます。酸素室内での容態悪化酸素室を利用していても、呼吸が苦しくなる、ぐったりとするなど、容体が急変することがあります。悲しいですが、緩和ケアで酸素室を使用している動物には、お別れが近い子がたくさんいます。酸素室内で容体が急変した場合、治療を継続するか、そのまま看取るかは、あらかじめかかりつけの獣医師とよく相談しておきましょう。飼い主さんへ酸酸素室は「命を支える居場所」であり、「安心して呼吸できる避難所」です。呼吸が苦しいときにすぐ入れる環境を準備しておくことは、愛犬・愛猫にとって大きな安心につながります。そして何より大切なのは、飼い主さんがそばにいて見守ってくれること。 酸素室の中で穏やかに過ごせる時間は、病気と闘う子にとってかけがえのないやすらぎのひとときです。 「少しでも楽に」「少しでも一緒に」―そんな想いが、きっとその子の力になります。困ったとき、迷ったときにはいつでも相談してください。一人で抱え込まず、私たちと一緒に、その子にとって一番穏やかな時間をつくっていきましょう。